推理小説『慟哭』

慟哭 (創元推理文庫)

慟哭 (創元推理文庫)

久々の読書はいつも通り友人に勧められて借りたもの。我孫子氏でもなく森氏でもない、貫井氏という作者のデビュー作らしい。

この小説では幼女誘拐事件を追う警察側と、犯人らしき人物側の2つの視点で交互に話が進む展開になっている。物語は最初の内は淡々と進むが、後半は話が一気に加速し読む手が止まらない。特に主人公である佐伯氏の警察内部での対立、家族との不和で苦悩する様が上手く描かれていて引き込まれてしまった。普段は電車で少しずつ読むのだが、帰宅してからも読み続け、ノンストップで読了してしまった。トリックは途中でいわゆる・・なのかなと気付く。今思えば以前読んだ我孫子氏のアレに展開が似てるので気付いたのだろう。最後のオチで「えっ!?」ではなく「ニヤリ」になってしまい推理小説の醍醐味である騙された感は味わえなかったけど、読みやすくて面白い作品だと思った。